シラバス情報

授業科目名
環太平洋文化
(英語名)
Pacific Culture
科目区分
専門教育科目
対象学生
環境人間学部
学年
2年
ナンバリングコード
HHHBE2MCA1
単位数
2.00単位
ナンバリングコードは授業科目を管理する部局、学科、教養専門の別を表します。詳細は右上の?から別途マニュアルをダウンロードしてご確認ください。
授業の形態
講義 (Lecture)
開講時期
2024年度前期
担当教員
中谷 和人
所属
非常勤講師
授業での使用言語
日本語
関連するSDGs目標
目標4
オフィスアワー・場所
授業前後、教室にて。
連絡先
kazuto_nak@hotmail.com

対応するディプロマ・ポリシー(DP)・教職課程の学修目標
二重丸は最も関連するDP番号を、丸は関連するDPを示します。
学部DP
1◎/2〇
研究科DP
全学DP
教職課程の学修目標

講義目的・到達目標
【講義目的】環太平洋世界、特にオセアニア地域は芸術の宝庫だと言われる。だが、そもそも「芸術」とはいったい何なのか。この授業では、イギリスの社会人類学者でメラネシア研究者でもあったアルフレッド・ジェルの遺作『芸術とエージェンシー』(1998年、未邦訳)の講読を行う。ジェルはこの本の中で、「美」や「意味」に注目する従来の芸術研究とは異なる、人類学ならではの芸術理論の構築を目指した。この授業では、特に彼の「人格」の考えに注目しながら、この著作を一緒に読み解くことで、ジェルのいう「芸術の人類学」について理解を深めるとともに、紋切り型の芸術観から抜け出し、世界をより創造的な眼で捉え直すための感性を養う。
【到達目標】1)環太平洋世界をはじめとする多様な芸術の例に触れながら、テキストの正確な読解を通して、紋切型の芸術観にとらわれない自由な発想を身につけること。2)1)の達成にもとづき、自己やその周囲の世界を新鮮な眼で捉え直すとともに、そこで得た気づきや発見を、身近な事例を挙げながら人に説明できるようになること。
授業のサブタイトル・キーワード
【キーワード】芸術の人類学、人格、物、贈与交換、クラ、メラネシア、ニューギニアの盾、社会的な関わり合い、伝記的企て、エージェンシー、インデックス、アブダクション、芸術のネクサス、《モナ・リザ》、釘の呪物、《鏡のヴィーナス》、魅惑、カヌーの舳先板、装飾芸術、魔除け模様、砂絵、分配された人格、偶像崇拝、偶像破壊、呪術、傀儡の邪術、映像、シミュラークル、アニミズム、フラクタル、スタイル、ポリネシアの入れ墨、マランガン、記憶、マルセル・デュシャン、四次元の芸術、時間、マオリの集会所
講義内容・授業計画
【講義内容】基本的にはテキストの構成に従って、各章の内容を講読する形で行う。授業ではパワーポイント(写真、映像資料含む)を使用し、レジュメを配布する予定である。
【授業計画】(※授業の進展に応じて変更の可能性あり)
1 イントロダクション
2 第1章 問題の定義 芸術の人類学の必要性
3 第2章 芸術のネクサス理論
4 第2章 芸術のネクサス理論(続)
5 第3章 芸術のネクサスとインデックス
6 第4章 芸術のネクサスにおけるインデックスの内旋
7 第5章 インデックスの創成
8 第6章 インデックスの批判
9 第7章 分配された人格
10 第7章 分配された人格(続)
11 第8章 スタイルと文化
12 第8章 スタイルと文化(続)
13 第9章 結論 拡張した心
14 第9章 結論 拡張した心(続)
15 全体のまとめ
※生成系AIの使用については教員の指示に従ってください。生成系AIによる出力結果をそのまま課題レポート等として提出することは認めておらず、もしこれに違反した場合は、単位を認定しない、または認定を取り消す場合があります。
教科書
Alfred Gell (1998) Art and Agency: An Anthropological Theory. Oxford University Press.
※原著は高価なため、購入は必須としない。授業では日本語のレジュメを用いるが、原文を確認したい場合は図書館等で探すこと。
参考文献
日本語で読める解説として、以下のものがある。
・吉田ゆか子 2018年 「アルフレッド・ジェル」『はじめて学ぶ文化人類学 人物・古典・名著からの誘い』岸上伸啓編著、ミネルヴァ書房、pp.270-275.
・内山田康 2008年 「芸術作品の仕事——ジェルの反美学的アブダクションと、デュシャンの分配されたパーソン」『文化人類学』73(2)、pp.158-179.
・久保明教 2011年 「世界を制作=認識する——ブルーノ・ラトゥール×アルフレッド・ジェル」『現実批判の人類学』春日直樹編著、世界思想社、pp.34-53.
事前・事後学習(予習・復習)の内容・時間の目安
【予習】上記の参考文献やインターネットを通じて情報収集し、テキストを読むための文脈整理を行うこと。(30h)
【復習】各回の授業内容をより深く定着させるために、配布されたレジュメを最低2回は熟読すること。余力があれば、授業内容と関連する身近な例を自分で見つけてみること。(30h)
アクティブ・ラーニングの内容
毎回講義後にコメントシートを提出してもらい、次回の講義の冒頭で紹介と講評を行う。コメントシートは教員との、また学生間での貴重なコミュニケーションの機会であり、講義を聞いた感想や質問を自由に書くこと。
成績評価の基準・方法
上記した到達目標1)2)に照らして、コメントシートの内容(30%)と定期試験レポート(70%)を総合して評価する。
課題・試験結果の開示方法
コメントシートの紹介と講評を通じて、教員との、また学生間でのコミュニケーションの機会を可能なかぎり確保する。
定期試験レポートについては、授業評価アンケートの教員コメント欄に試験結果に関するコメントもあわせて記載する。
履修上の注意・履修要件
同じ教員が担当する「文化人類学(A)」を履修していることが望ましいが、必須ではない。
この授業は、環太平洋文化の概説を行うものではなく、芸術に関する新しい人類学理論を紹介するものである。当然理論的な話は避けられないが、可能なかぎり平易に説明するので、何か新しい世界をみたい、知りたいという学生はぜひ受講してみてほしい。
実践的教育
該当しない
備考
英語版と日本語版との間に内容の相違が生じた場合は、日本語版を優先するものとします。