【講義内容】
多様な主体による減災復興学の政策適用についての視野を広げるため、減災復興に係る準備、減災、応急対応、復旧・復興の実践を行っている現場(被災者、地域コミュニティ、企業、NPO、行政、学校等)を訪問し、地域の現状を分析、研究課題を発見する。また、減災復興学の減災と復興を担う建築構造物の耐震技術を理解するための各種施設や現場への訪問、地震や気象の現業観測施設への訪問を行い、国や公的研究機関による取り組みについての現状を知り、研究課題を発見する。次に、調査・観測計画を立てて目的に応じた質的・量的調査、現場観測を実施し、得られた調査・観測データを分析・考察する。本講義は、事前学習、現地調査、事後報告の3つのステップで実施する。
教員が提案するプログラムの中から訪問先を選択し、災害領域、減災コミュニケーション、減災復興ガバナンスの3領域からそれぞれ1つ以上のフィールドワークを選択して履修する。各フィールドワークは最低14時間以上(事前事後学習6h,現地訪問8hを目安)、計40時間以上となるようにフィールドワークを選択し実施する。
【授業計画】
1.ガイダンス①(谷口、各教員) フィールドワークの進め方について説明する。各教員から、今年度の活動プログラムを説明する(1h)。
2.ガイダンス②(谷口) フィールドワーク実施計画の作成、実施において配慮すべき事項等について説明する(1h)。
3.フィールドワークの実施(担当教員)現地での活動を実施する前に事前学習を実施して、現地の状況について文献調査し調査計画を立てる。現地調査を実施し調査データを収集する。調査結果を分析し報告書を作成する。
フィールドワークの実施時期は、原則10〜12月とする。状況に応じて夏休み(8〜9月)の実施も可とする。
4.成果の発表と討論(全教員)減災復興の現場における事前の備えについて、それぞれのフィールドワークについて独自の情報収集、分析を加えた報告を行い、他の学生及び教員と全体ディスカッションを行う。全体ディスカッションを通して、それぞれのフィールドワークで得られた知見を共有し、減災復興の現場における事前の備えにおいて、多様な主体がどのように連携したり、活動を棲み分けたりするのかについて議論を行う(4h)。
5.まとめと評価(到達度の確認)(谷口、各教員)
フィールドワークプログラム例(年度毎に変更の可能性あり)
① 災害領域:
・南海トラフ地震・津波によって想定される被害調査のための実地微動観測・地形調査、気象災害予測のための実地気象観測。
・淡路島南あわじ市における微動観測、北淡震災記念公園での野島断層見学、淡路島島内のアメダス気象観測所見学、常時気象観測施設における気象観測などを実施。
② 減災コミュニケーション領域:
・過去の災害の被災地において、地域住民とともに減災復興に関するワークショップを行うことにより、地域の被害状況を知るとともに、被災者とのコミュニケーションの取り方を考える。
・高校と地域が連携した地域防災活動に参加する。尼崎市内におけるモバイルデバイスを活用した調査、データ収集、収集したデータを利用した地域住民参加型のまち歩きイベントを実施し、地域防災情報と地域防災の実践について学ぶ。
③ 減災復興ガバナンス領域:
・南海トラフ地震対策に取り組む高知市下知地区(又は徳島県美波町)を調査し、地方自治体と地域が連携した災害への備え、避難対策、事前復興等について学修する。
・大阪市中央区北大江地区における避難所運営訓練に参加し、都心のコミュニティによる帰宅困難者への対応を考慮した訓練の実践手法を学ぶ。
・地域住民を主体とした地区防災計画策定に向けた活動や地域の復興を目指した活動、それを支える中間支援組織等の活動に従事し、平時からの関係構築の重要性や被災後の支援の連携効果について実践的に理解する。
【授業における生成系AIの使用について】
・レポート等については、学生本人が作成することを前提としているため、生成系AIのみを用いて作成することは出来ません。