シラバス情報

授業科目名
経済数学Ⅱ (国際商経・専門科目)
(英語名)
Mathematics for Economics II (J) (国際商経・専門科目)
科目区分
専門教育科目
-
対象学生
国際商経学部
学年
学年指定なし
ナンバリングコード
KCCBK1MCA7
単位数
2単位
ナンバリングコードは授業科目を管理する部局、学科、教養専門の別を表します。詳細は右上の?から別途マニュアルをダウンロードしてご確認ください。
授業の形態
講義・演習 (Lecture/Seminar)
開講時期
2024年度後期
担当教員
水野 利英
所属
非常勤講師
授業での使用言語
日本語
関連するSDGs目標
該当なし
オフィスアワー・場所
講義終了後、教室にて
連絡先
xwgtk127@gk.u-hyogo.ac.jp
特に個別の問題でなければ、ユニバーサルパスポートのQ&Aを利用すること。


対応するディプロマ・ポリシー(DP)・教職課程の学修目標
二重丸は最も関連するDP番号を、丸は関連するDPを示します。
学部DP
1◎/2◎/3◎
研究科DP
全学DP
教職課程の学修目標

講義目的・到達目標
【講義目的】以前は経済モデルの多くは関数形を指定しない一般的なモデルから得られるインプリケーションを得ることを目的としていた。
しかし、コンピュータが利用しやすくなるとともに動学的確率的一般均衡モデルのような複雑なモデルが分析されるようになると、関数形とパラメータを指定して、数値解を求めたり図示することが多くなっている。
また、それほど複雑でないモデルでも現実的な数値解を求めることが増えている。

この講義では、こうした数値計算に用いられる標準的な方法を説明し、簡単なモデルに当て嵌め、数値解を求めたり図示することができるようになることを目的とする。

基本的には、プログラマー視線でなくユーザー視線で進めていくので、標準的な数値的方法についてはパッケージに入れて、数値解を求め、さらにそれを表や図で示せるせることができることを目的とする。
しかし、標準的なパッケージが無く、アルゴリズムが簡単な場合にはプログラムをする。複雑なアルゴリズムを理解してプログラムにする能力は求めないが、標準的なアルゴリズムについては、概略がわかることが好ましい。

【到達目標】簡単な経済モデルで関数形とパラメータを決めたとき数値解を求め、表や図で示す能力を得る。これは、卒論研究や大学院でより複雑な経済モデルの数値分析をするのに役に立つであろう。
このタイプのコンピュータを使う分野では、Web上で適当なパッケージを見つけてくるなどの能力も結果が出るかどうかを決めるので、こうした点について慣れることも目標である。
授業のサブタイトル・キーワード
経済モデルの数値例を作るのに必要な数値計算とコンピュータの知識
講義内容・授業計画
【講義内容】
経済モデルの数値例を計算する過程は(a)数値計算の方法(b)プログラミング (c)経済モデルへの当て嵌めの三つになる。体系的に例えば(b)→(a)→(c)の順に進んでいくことも可能で、教科書だとそのように書かれることが多い。
しかし、講義ではそれではしんどいので、テーマごとに必要に応じて三つの部分を混ぜて説明する。同じことが何度か出てくるので、次第に慣れるであろう。

テーマは、(1)静学的な経済モデルで使われる非線形の最適化と連立非線形方程式の解(2)動学モデルで用いられる差分方程式と微分方程式 (3)数値計算の有難みがわかるダイナミック・プログラミングで、その前に(a)(b)(c)の基本的知識をイントロダクションで説明する。

 プログラム環境は、データ分析や計量経済分析でよく使われるRをRstdioの環境下で用いる。Rstdioの環境下のRは、計算をステップごとに実行でき、途中の経過を見ることができるので、使いやすい。
Rは、本格的に数値解析をプログラミングするには向かないが、標準的な数値計算の方法はパッケッージが存在するので、簡単な経済モデルの数値分析には十分である。
また、主に統計分析に用いられるので、表の作成や図やグラフの作成も容易である。
Rstdioの環境下のRに慣れておくと卒業研究でデータ分析や計量経済分析をする場合にも役に立つであろう。


【授業計画】
Part 1 イントロダクション

イントロダクションは以下の講義で必要になるコンピュータによる数の表し方などの数値計算の常識、RとRstudioの使い方、微分公式、経済学でよく使う関数、線形代数の数値計算などを説明する。

1.イントロダクション(1)
2.イントロダクション(2)
3.イントロダクション(3)
4.イントロダクション(4)

Part 2 非線形の最適化と連立非線形方程式の解

非線形の最適化の例としては、利潤最大化や効用最大化、連立非線形方程式の解の例としては簡単な一般均衡モデルを用いる。微分可能なときは非線形の最適化問題は各変数で微分して0とおくと連立非線形方程式の解になるので関連した問題になる。標準的な数値解法はニュートン法でこれについては説明するが、関数の行儀がよくないとうまくいかない。パッケージには様々な解法がオプションとして含まれていて、例では、これらを試行錯誤する。


5.非線形の最適化と連立非線形方程式の解(1)
6.非線形の最適化と連立非線形方程式の解(2)
7.非線形の最適化と連立非線形方程式の解(3)
8.非線形の最適化と連立非線形方程式の解(4)


Part 3 差分方程式と微分方程式

動学モデルでは、時間が離散な場合は差分方程式、連続な場合には微分方程式が用いられる。差分方程式と微分方程式の例としては、マクロ経済学の基本的なモデルである世代重複モデルとソローモデルの計算例を作っていく。ソローモデルのほうが簡単で微分方程式については、古くから標準的な数値解法があってパッケージが容易に得られるので、こちらから始める。

9.差分方程式と微分方程式(1)
10.差分方程式と微分方程式(2)
11.差分方程式と微分方程式(3)
12.差分方程式と微分方程式(4)



Part 4 ダイナミック・プログラミング(動的計画法)

毎期の状態が事前的には同じである場合の離散的なモデルの最適化問題である。ダイナミック・プログラミングは数値計算のパワーが実感できるところなので、多くの計算経済学の教科書で取り扱われている。
しかし、簡単で標準的なパッケージは無いようなのでプログラミングが必要になるようである。

経済モデルは異時点間の最適消費計画を扱う。
一番簡単な問題は一定の大きさのケーキをどのように無限期間で食べるかというcake eating問題である。この問題から初めて、確率的に所得が決まるモデルなどを扱っていく。

13.ダイナミック・プログラミング(1)
14.ダイナミック・プログラミング(2)
15.ダイナミック・プログラミング(3)


定期試験





教科書
なし
参考文献
コンピュータを使う分野では、パッケージのマニュアルやその解説など、最新の材料がWeb上にあることが多い。講義で順次紹介する。動画を含めて、優れた教材もWeb上から得られる。気づいたものは、講義で紹介する。
事前・事後学習(予習・復習)の内容・時間の目安
【予習】各週の初めに、その週に使う教材をアプロードするので、見ておく。(40m)

【復習】各講義のとき、使ったプログラムなどは、講義のあとアプロードするので、関数形やパラメータを変えるとどう変わるかチェックする(1h)。6回程度、課題を作る。3回は教科書の節末の練習問題程度で基本的事項の理解を確認する。3回は教科書の章末の練習問題のような応用とする。(1h×3+3h×3)。基本的に復習が中心となる。
アクティブ・ラーニングの内容
採用しない
成績評価の基準・方法
【成績評価の基準】
経済モデルの数値例を作り表や図で示す能力を獲得しているかどうか、課題でみる。提出課題にしたがって、S(90点以上),A(80 点以上),B(70 点以上),C(60 点以上)による成績評価のうえ、単位を付与する。



【成績評価の方法】
課題レポート100%。課題レポートは6回程度を予定している。3回は基本的事項の確認、残り3回は、講義中の計算例の関数形やパラメータを変えた時、結果がどのように変わるかを見るものである。後者については、プログラムや図を張り付けるだけでなく、ちゃんとしたレポートで提出すること。できれば、課題のうち1回はパッケージをWeb上で探すところから実践的な課題にしたい。
課題・試験結果の開示方法
課題は提出後の講義で説明し、よくある間違いなどを説明する。定期試験や模範解答と全体的な講評をユニバーサルパスポートのクラスプロファイル機能を使って示す。
履修上の注意・履修要件
できるだけ自己充足的(self-contained)に講義するが、ミクロ経済学、マクロ経済学、経済数学I、情報処理の基礎を理解しているほうがいい。コンピュータが好きな学生は歓迎される。
実践的教育
該当しない
備考
英語版と日本語版との間に内容の相違が生じた場合は、日本語版を優先するものとします。