シラバス情報

授業科目名
化学熱力学
(英語名)
Chemical Thermodynamics
科目区分
専門教育科目
対象学生
工学部
学年
3年
ナンバリングコード
HETBO3MCA1
単位数
2単位
ナンバリングコードは授業科目を管理する部局、学科、教養専門の別を表します。詳細は右上の?から別途マニュアルをダウンロードしてご確認ください。
授業の形態
講義 (Lecture)
開講時期
2024年度前期
担当教員
山本 宏明
所属
工学研究科
授業での使用言語
日本語
関連するSDGs目標
目標7/目標9/目標13
オフィスアワー・場所
火曜10:30-12:00・書写C503研究室
連絡先
hyama@eng.u-hyogo.ac.jp

対応するディプロマ・ポリシー(DP)・教職課程の学修目標
二重丸は最も関連するDP番号を、丸は関連するDPを示します。
学部DP
5◎/1〇/2〇
研究科DP
全学DP
教職課程の学修目標
目標1:磨き続ける力

講義目的・到達目標
[講義目的]
化学熱力学は,鉄鋼業,レアメタル製造業,および電子材料製造業などと深い係わりがある.化学熱力学の素養に基づき,天然資源の分離精製や都市鉱山からの元素のリサイクル,および新素材の開発を,無駄なく,安価に,エネルギー使用量を最小限に,環境を汚染することなく,行なう方法を講述する.
化学熱力学の関係式を平衡図に視覚化する能力を養うことを最大の達成目標とする.すなわち,熱力学諸量に基づき,様々な温度において,酸化物や金属状態と平衡するO2,CO,CO2,H2分圧などを図示し,金属状態への還元経路を,視覚的に理解する能力を養う.また,状態図を熱力学計算して材料開発する能力を身につける.この能力を養うと既存の操業がなぜそのような条件で行われているのか理解でき,また,新製錬・リサイクルプロセスのアイデアを思い描けるようになるであろう.

[到達目標]
・活量と化学ポテンシャルの標準状態を説明できる。(知能・技能・思考力)
・熱力学データに基づき活量−組成図を作図して説明できる。(知能・技能)
・熱力学データに基づき化学平衡図を作図して説明できる。(知能・技能)
・化学平衡図に基づき材料製造プロセスを設計できる。(知能・技能・思考力・判断力)
・理論と実操業の接点を説明できる。(知能・技能・思考力・判断力)
・脱炭素社会における熱力学の役割を説明できる。(思考力・判断力)
授業のサブタイトル・キーワード
サブタイトル:精密な測定と理論解析を通して化学反応を解明する学問
キーワード:化学平衡図に基づく最適製造プロセス設計、二酸化炭素排出削減、次世代エネルギー開発、標準状態、活量、化学ポテンシャル、平衡定数、エリンガム図
講義内容・授業計画
[講義内容]
熱力学の理論と実操業技術や新素材開発との接点を考察する講義を行う.一般に,抽象概念よりも具体例を体得する方が初心者にとって理解が平易である.具体的な実操業や新素材開発を熱力学の理論で解釈する講義を行い,その体験に基づいて熱力学的に最適なプロセス設計や材料設計できる素養を養うことを目的とする.

[授業計画]
1. ガイダンス 本講義の目標や概要
2. 基準状態と標準状態の定義、標準生成エンタルピー、第3法則エントロピーおよび標準生成エントロピーの決定方法
3. Raoultの標準状態の活量とHenryの標準状態の活量
4. 平衡定数,相律
5. エリンガム図の作り方・見方・考え方
6. 鉄の製錬
7.化学平衡図(Fe−O−C系の平衡図の作り方・見方・考え方)
8.中間試験
9. 多相平衡の活量と化学ポテンシャル
 (溶体の準化学的取り扱いI-配置のエントロピー,溶体の準化学的取り扱いII-相互作用パラメ−タ−)
10. 溶体の数学モデルI-理想溶体、正則溶体および実在溶体-
11. 溶体の数学モデルII-相互作用パラメ−タ−を用いた化学ポテンシャルの数学モデル-
12. 平衡状態図の熱力学計算
13. 多成分系の活量−相互作用母係数と相互作用助係数−
14. 水溶液中イオンの熱力学
15. まとめと評価(到達度の確認)

※中間試験と期末試験を実施する。
※パソコンの利用:講義資料の閲覧に使用しても可
※生成系AIの利用については教員の指示に従うこと。生成系AIによる出力結果をそのまま課題レポートとして提出してはいけない。生成系AIによる出力をそのまま提出したことが判明した場合は単位を認定しない、又は認定を取り消すことがある。
教科書
各回の講義内容で使用するスライドを講義資料としてユニバーサルパスポートのクラスプロファイル機能を使ってダウンロードできるようにする
参考文献
化学熱力学 香山滉一郎 アグネ技術センター(図書館にあり)
物理化学(上),アトキンス著(千原ほか訳),東京化学同人
事前・事後学習(予習・復習)の内容・時間の目安
【予習】授業に際して使用する配布テキスト・参考書・配布プリントを事前読み込み(15h)
【復習】レポート作成(2回、30h)、講義内容の理解を深め定着させるために配布テキスト・参考書・配布プリントを読み直し(15h)
アクティブ・ラーニングの内容
実施しない
成績評価の基準・方法
成績評価の基準
・熱力学諸量の物理化学的意味を理解し、熱力学諸量を化学平衡図に可視化して、材料設計およびプロセス設計に応用できる能力を養った者に単位を授与する。
・講義目的・到達度目標に記載する能力(知識・技能、思考力、判断力、表現力等)の到達度に応じてS(90点以上)、A(80点以上)、B(70点以上)、C(60点以上)の成績を与える。
・レポート(15%)、定期試験(75%)、発表受講態度(積極的な質問等)(10%)を含めて総合的に評価する。
・定期試験は、対面で実施する予定ですが、新型コロナウィルス感染症対策として、オンライン試験を実施する場合があり、自宅等でオンライン試験に対応できる通信環境(PC・タブレット等の端末やWi-Fi環境)が必要となる場合があります。
 最終的な試験方法は、履修登録後、新型コロナウィルス感染症の状況に応じて決定・連絡します。
課題・試験結果の開示方法
レポート課題・中間試験は、原則次の講義内で解説・コメントする.
定期試験は、模範解答をユニバーサルパスポートのクラスプロファイル機能を使って示す.

履修上の注意・履修要件
・物理化学Ⅰおよび物理化学Ⅱで習得した内容に基づき本講義を実施する。授業欠席の際、診断書(コピー可、病院の領収書でもよい)を提出すること。
実践的教育
該当しない
備考
英語版と日本語版との間に内容の相違が生じた場合は、日本語版を優先するものとします。