シラバス情報

授業科目名
系統分類学特論
(英語名)
Special Topics in Systematic Biology
科目区分
博士前期課程科目
対象学生
環境人間学研究科
学年
学年指定なし
ナンバリングコード
HHHME5MCA1
単位数
2.0単位
ナンバリングコードは授業科目を管理する部局、学科、教養専門の別を表します。詳細は右上の?から別途マニュアルをダウンロードしてご確認ください。
授業の形態
講義 (Lecture)
開講時期
2024年度後期
担当教員
太田 英利
所属
環境人間学研究科
授業での使用言語
日本語
関連するSDGs目標
目標14/目標15
オフィスアワー・場所
オフィスアワー一覧表(ユニバーサルパスポートに掲示)を参照のこと
連絡先
オフィスアワー一覧表(ユニバーサルパスポートに掲示)を参照のこと

対応するディプロマ・ポリシー(DP)・教職課程の学修目標
二重丸は最も関連するDP番号を、丸は関連するDPを示します。
学部DP
研究科DP
1〇
全学DP
教職課程の学修目標

講義目的・到達目標
科目は多様な生物を思索や伝達の対象とする際に最大の基盤となる、生物の分類体系に関する総合的な理解を目的とする。本科目の受講により、生物学の専門家間でのやり取りのみならず、日常的にもさまざまな場面で使用される一方で、必ずしも正確に理解されているとは言えない、種、種分化、リンネの体系、系統関係、といった事項について、正確な知識と適切な問題意識を身につけることを目標とする。
授業のサブタイトル・キーワード
生物多様性
講義内容・授業計画
講義内容
 この講義ではまず多様な生物を思索、伝達などにおいて簡便に扱うための条件を考えてみる。次にその条件を満たすべく考察されたリンネの体系を構成する階層(分類カテゴリー)の中でも最下層の基本単位である「種」のカテゴリーについて、その概念的な定義や実践における個々の種の認識法、そして認識された種の正式な認定手続きに関する理解をはかる。その中で基準標本や比較標本の重要性や、それらの保管場所としての自然史博物館の役割についても解説する。さらにリンネの体系において、種より上のランクの分類群(属、科など)を規定する際の基盤となる系統関係(進化的類縁関係)の本質について、その推定のために用いられている代表的な手法のメリット、デメリットの紹介の中で解説し理解をはかる。最後に、高い精度で組み立てられた系統仮説の有用性について具体例を示しつつ紹介するとともに、系統分類学分野における、今後、解決されるべき課題について簡単に紹介する。

授業計画
1.分類することの意味、分類学の生物学中における役割について解説する。
2.生物の多様性を思索や伝達の対象として扱う際の簡便性を目的として18世紀に考案され、現代生物学の中でも利用されているリンネの体系について、その基本構造を紹介する。
3.リンネの体系が考察された時代の世界観や生物観が、体系構築の果たした役割を概観する。
4.19世紀に生じた世界観、生物間の劇的変化の、体系構築に果たした役割を概観する。
5.種というものの捉え方についての変遷課程を概観し、それぞれの問題点について解説する。
6.亜種、半種、上種といった概念について、できるだけ具体的な例を挙げつつ解説する。
7.個体群やメタ個体群と、その変異性の理解に集団遺伝子学が果たして来た役割を解説する。
8.種分化について、想定される様式ごとの時空間的プロセスその結果を中心に解説する。
9.国際命名規約について特に動物に関するもの(国際動物命名規約)を中心に紹介する。また、分類の実践における標本や、標本を保管する自然史博物館の重要性についても解説する。
10.高位の分類カテゴリー(属、科、目など)の実在性や、その認定基準となる系統関係の推定法について、表型形質の一般類似性にもとづくものを中心に解説する。
11.最節約法について紹介し、具体例を挙げつつその長所・短所について解説する。
12.分子情報を手がかりとした系統推定の手法について紹介する。
13.系統仮説の分類体系への変換手法とその問題点について解説する。
14.系統関係に関する最良仮説の、他の自然科学分野への貢献について解説する。
15.まとめと評価(到達度の確認)

※生成系AIの利用:生成系AIの利用については教員の指示に従うこと。生成系AIによる出力結果をそのまま課題レポートとして提出してはいけない。生成系AIによる出力をそのまま提出したことが判明した場合は単位を認定しない、又は認定を取り消すことがある。

教科書
プリント資料を配付予定
参考文献
馬渡峻輔 1994. 動物分類学の論理. 東京大学出版会. 233pp.
事前・事後学習(予習・復習)の内容・時間の目安
【予習】授業に際して指示する教材プリントの事前読み込み(20h)
【復習】レポートや課題(20h)、講義内容の理解を深め定着させるための教材プリントの読み直し(20h)
アクティブ・ラーニングの内容
採用しない
成績評価の基準・方法
系統分類の論理と手法を理解し、分類体系から生物多様性にかかる情報を適切に把握できる者に単位を授与する。講義目的・到達目標に記載する知識・理解の到達度に基づき、S(100点満点中90点以上相当),A(同80点以上),B(同70点以上),C(同60点以上)による成績評価のうえ、単位を付与する。
なお成績評価は、講義期間中に課せられる小レポート(25%×2回)、最終試験に相当する最終レポート(50%)を基準とし、受講態度(積極的な質問等)を含めて総合的に判断する。

課題・試験結果の開示方法
レポートは、それぞれにコメントを付して返す、
定期試験は、全体的な講評や模範解答をユニバーサルパスポートのクラスプロファイル機能を使って示す。

履修上の注意・履修要件
履修にあたっては、十分な予習・復習をして講義に出席すること。講義は板書を多用するので、必ず専用のノートと筆記用具を持参すること。計3回出題される課題については字のきれいさ、脈絡の明快さにおいてきちんと読め、かつ意味の通るレポートを作成し、必ず締切までに提出すること。
なお本授業は、原則、対面で行う予定ですが、新型コロナウイルスの感染拡大状況によっては、自宅等でオンライン授業の受講となる場合があります。この場合には、視聴できる通信環境(PC・タブレット等の端末やWi-Fi環境)の準備をお願いします。授業方式を変更する場合は、ユニパ等で履修登録者に周知します。
実践的教育
該当しない
備考
担当教員はおもに爬虫類、両生類を対象にその系統分類、生物地理に関する研究を行っている。この講義は、こうした担当教員の専門分野の基本的な部分を解説するものである。詳細は教員研究者データベースHP https://cv01.ufinity.jp/u_hyogo/?page_id=105 を参照のこと。
英語版と日本語版との間に内容の相違が生じた場合は、日本語版を優先するものとします。