シラバス情報

授業科目名
情報変換化学
(英語名)
情報変換化学
科目区分
物質科学専攻・物質反応解析学・選択科目
対象学生
理学研究科
学年
学年指定なし
ナンバリングコード
HSSMM5MCA1
単位数
2.0単位
ナンバリングコードは授業科目を管理する部局、学科、教養専門の別を表します。詳細は右上の?から別途マニュアルをダウンロードしてご確認ください。
授業の形態
講義 (Lecture)
開講時期
2024年度前期
(Spring semester)
担当教員
鈴木 雅登
所属
理学研究科 物質科学専攻
授業での使用言語
日本語
関連するSDGs目標
目標3/目標6/目標9
オフィスアワー・場所
随時:研究棟402号室
(Universal PassportのQ and A機能を使って日時を事前に調整することが望ましい)
連絡先
suzuki@sci.u-hyogo.ac.jp

対応するディプロマ・ポリシー(DP)・教職課程の学修目標
二重丸は最も関連するDP番号を、丸は関連するDPを示します。
学部DP
研究科DP
1◎/4〇
全学DP
教職課程の学修目標
目標1:磨き続ける力/目標3:協働する力

講義目的・到達目標
【講義目的】
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させ,経済発展と社会課題の解決を両立する社会(Society5.0)が新たな社会として提唱され,その実現に向けて様々な研究開発が行われている.我々の身の回りのフィジカル空間で生じる情報をセンシングし,仮想空間へその情報を伝達できるよう変換する必要がある.
本講義ではフィジカル空間の情報をセンシングし電気信号へ変換する事例を紹介し,そこに含まれる化学的な作動原理を理解することを第一の目的とする.特にヘルスケア・環境分野での事例を中心に概説する.
それらの事例から,Society5.0の実現に必要な課題を整理し,その課題を解決するための研究開発課題をワークを通して受講者が自ら設定し,研究提案力の向上を第二の目的とする.

【到達目標】
(1)情報変換に関する化学的な原理を説明できること.
(2)社会課題を把握して,その解決につながる研究開発課題までの筋道を説明できること.
授業のサブタイトル・キーワード
【サブタイトル】
未来創造につながる研究開発課題の提案力を養う

【キーワード】
Society5.0,未来創造,生物電気化学,電気生理学,センシング,シグナル変換
講義内容・授業計画
【講義内容】第1回〜第7回(前半)と第8回〜第15回(後半)で講義の実施形態が変わるので注意する.
(実施形態が変わるタイミングは講義の進行度に応じて変更になる可能性がある.その場合は講義中や掲示板で連絡する.)
前半:外界の情報をセンシングし,シグナル変換する事例を紹介し,その化学的な動作原理について講義する.座学が中心である.
後半:未来創造の考え方と先端技術の状況を概説する.受講者自身が実現したい未来を設定しその実現に必要な研究課題を最終回で受講者が発表する.受講者が考え,表現することが中心である.
 
【授業計画】
<前半>
第1回 ガイダンス:本講義の目標や内容および進め方を概説する
第2回 イントロダクション:新しい社会の形Society 5.0について.Society5.0の実現によって創造が期待される価値,その実現のために必要な科学技術イノベーションについて概説する.
第3回:水質をセンシングし,シグナルを変換する(生物燃料電池)
第4回:空気質をセンシングし,シグナル変換する(匂いセンサ,人工嗅覚システム)
第5回:生体生理情報をセンシングし,シグナル変換する(ウエアラブル(フレキシブル)バイオセンサ)
第6回:バイオマーカーやウイルスをセンシングし,シグナル変換する(デジタルバイオテクノロジー)
第7回:電気・力学信号をセンシングし,身体を治療する(遠隔治療・刺激応答性DDS・デザイナー細胞)
<後半>
第8回:バックキャスティング型の研究課題の考え方
第9回:バックキャスティング型の研究課題の実践例(単一細胞解析技術開発を例に)
第10回:ワーク1:未来を妄想する
第11回:ワーク2:未来を構想する  
第12回:中間報告会(構想した未来を発表する)
第13回:ワーク3:未来を実装する(現状の技術でできていることを明確にする)
第14回:ワーク4:未来を実装する(先行技術の整理と解くべき課題を具体化する)
第15回:最終報告会

*【生成系AIの使用について】
生成系AIの利用については教員の指示に従うこと.課題レポートの作成や事前・事後学習に当たり,事例検索,翻訳等に補助的に生成系AIを使用しても良い.
またワークを実施する上で論点や課題の整理には積極的な活用を推奨する.
しかし,生成系AIの出力した内容について,事実関係の確認や出典・参考文献を確認・追記することが重要である.


教科書
講義資料をユニバーサルパスポートで配布する.ダウンロードすること.
参考文献
「化学の要点シリーズ41 バイオ医用高分子」(2022,共立出版),日本化学会 編・ 伊藤 嘉浩 著,ISBN: 9784320044821
「CSJカレントレビュー24 医療・診断・創薬の化学 医療分野に挑む革新的な科学技術」(2017,化学同人)日本化学会 編,ISBN: 9784759813845
「CSJカレントレビュー23 先端計測 研究を支える機器開発」(2016,化学同人)日本化学会 編,ISBN: 9784759813838
「CSJカレントレビュー38 光エネルギー変換における分子触媒の新展開」(2020,化学同人)日本化学会 編,ISBN: 9784759813982
「妄想と具現」(2023,日経BP)出村 光世著,ISBN:9784296201556
「未来創造戦略ワークブック」(2022, 日本実業出版社)河瀬 誠 著,ISBN: 9784534059567
「FACTFULLNESS」(2019, 日経BP)ハンス・ロスリング  (著),ISBN: 9784822289607
「研究の育て方: ゴールとプロセスの「見える化」」(医学書院,2018)近藤 克則  (著),ISBN:  9784260036740
事前・事後学習(予習・復習)の内容・時間の目安
予習:講義資料を講義前に読み,講義で取り扱うトピックスを調べること(12回(ガイダンス,中間・最終報告は除く)x2時間=24時間)
復習:
 ・講義内容の定着:前半の講義で取り扱ったトピックスの内容の理解を深め定着させるために,参考文献や講義中に提示した資料の精読・関連事項の調査(7回x2時間=14時間).
 ・講義内容の実践:後半の講義で取り扱う,課題解決法やアイデア発想法を自分の研究テーマに当てはめて,実践し講義内容を定着させる(6回x2時間=12時間).
 ・発表資料の準備:中間報告・最終報告会の発表資料を準備する(2回x10時間=20時間)


アクティブ・ラーニングの内容
後半で一部採用する.
未来構想や解くべき課題の整理の際に受講者間でのブレインストーミングを実施する.
中間報告や最終報告の際に受講者間でディスカッションを実施する.


成績評価の基準・方法
【評価方法】
レポート(40%),中間・最終報告での発表内容(40%),ワークへの取り組み(20%)で総合的に評価する.

【採点の基準】
レポート:問われている課題に対する解答の,論理性を重視する.
発表内容:未来構想の設定,設定した課題に対する研究提案の論理性を重視する.
(なぜその未来を構想したのか,なぜその研究開発が設定した未来構想実現に必要なのか,という点の説明の明快さを重視する)
(発表資料の見栄え,発表の仕方自体には重きは置かない)

【成績評価の基準】
S(90点以上),A(80 点以上),B(70 点以上),C(60 点以上)による成績評価のうえ,単位を付与する.


課題・試験結果の開示方法
重大な不備のあるレポートは返却し再提出を要求する場合がある.
中間発表の際に,個々の受講者の発表内容に応じて,最終発表までに付け足す視点をその場でコメントし最終発表への準備を促す.


履修上の注意・履修要件
「機器分析学」を履修していると前半の講義内容の理解がより深まる.
後半の講義は,仮説型の考え方を重視する.些細な考えやアイデアをとるにたりないもの,とはとらえず,表現して形に残すことを重視する.


実践的教育
メーカーの先端研究部門で勤務経験のある教員が,その経験を活かして,10年,20年後の社会実装に繋がる研究開発課題を設定する考え方を講義する.
備考
英語版と日本語版との間に内容の相違が生じた場合は、日本語版を優先するものとします。