シラバス情報

授業科目名
社会人類学
(英語名)
Social Anthropology
科目区分
専門教育科目
対象学生
環境人間学部
学年
3年
ナンバリングコード
HHHBE3MCA1
単位数
2.0単位
ナンバリングコードは授業科目を管理する部局、学科、教養専門の別を表します。詳細は右上の?から別途マニュアルをダウンロードしてご確認ください。
授業の形態
講義 (Lecture)
開講時期
2025年度前期
担当教員
中谷 和人
所属
非常勤講師
授業での使用言語
日本語
関連するSDGs目標
目標4
オフィスアワー・場所
授業前後、教室にて。
連絡先
kazuto_nak@hotmail.com

対応するディプロマ・ポリシー(DP)・教職課程の学修目標
二重丸は最も関連するDP番号を、丸は関連するDPを示します。
学部DP
1◎/2〇
研究科DP
全学DP
教職課程の学修目標

講義目的・到達目標
【講義目的】本講義では、イギリスの著名な社会学者ティム・インゴルドの著作『メイキング』(原著=2013年、邦訳=2017年)の講読を行う。インゴルドはこの本の中で、人類学、考古学、芸術、そして建築に関わる多種多様な「つくる(making)」営みを取り上げながら、これを全く新しい観点から考察した。彼のいう「つくることを通して考える方法」とは、いったいどんな方法なのか。また、それが我々の「生」にどんな新たな可能性をもたらすのか。本講義ではこの問いを、『メイキング』を一緒に読み解きながら考えていく。
【到達目標】1)社会人類学の最新の動向を示す1冊の本を読み、概念やアイディアの連関に注意しながら、著者の主張を包括的に理解できる読解力を身に付けること。2)1)を土台に、自らの生きる世界をフレッシュな視点から捉え直し、かつそこで得た発見や気づきを、具体的な言葉で人に説明できる表現力を身に付けること。
授業のサブタイトル・キーワード
【キーワード】内側から知る、参与観察、変容、人類学と民族誌、芸術とともにする人類学、籠編み、レンガ造り、素材、物語と分類、両面石器、完成品という誤謬、住まうこと、建てること、中世の職人、大聖堂、生物進化、デザインからの論証、庭師、新しいデザイン論、洞窟壁画、マウンドとモニュメント、記憶と記録、大地=空の世界、ものと対象物、開かれた身体、アニマシーのダンス、転導器、合奏、応答と相互作用、語り、触知性、ドローイング、メッシュワークとネットワーク、等々。
講義内容・授業計画
【講義内容】基本的にはテキストの構成に従って各章の内容を講読していく。講義ではパワーポイント(写真、映像資料含む)を使用し、レジュメを配布する。また授業の中盤に、関連する映像作品を視聴する予定である。
【授業計画】(※授業の進展に従って変更の可能性有り。)
1.イントロダクション つくることの中へ
2.第1章 内側から知る
3.第2章 生命の素材
4.第2章 生命の素材(続)
5.第3章 握斧をつくる
6.第4章 家を建てる
7.第5章 明視の時計職人
8.前半のまとめ
9.映像作品の視聴
10.第6章 円形のマウンドと大地・空
11.第7章 流れる身体
12.第7章 流れる身体(続)
13.第8章 手は語る
14.第9章 線を描く
15.全体のまとめ
※生成系AIの使用については教員の指示に従ってください。生成系AIによる出力結果をそのまま課題レポート等として提出することは認めておらず、もしこれに違反した場合は、単位を認定しない、または認定を取り消す場合があります。
教科書
ティム・インゴルド著 2017年 『メイキング 人類学・考古学・芸術・建築』金子遊ほか訳、左右社。(生協等で購入する)
※テキストは邦訳を指定するが、授業では原著も適宜参照する予定である。
参考文献
《インゴルドの他の著作》
ティム・インゴルド 2014年 『ラインズ 線の文化史』(工藤晋訳)、左右社。
ティム・インゴルド 2018年 『ライフ・オブ・ラインズ 線の生態人類学』(筧菜奈子ほか訳)、フィルムアート社。
ティム・インゴルド 2020年 『人類学とは何か』(奥野克己・宮崎幸子訳)、亜紀書房。
《日本語で読める解説など》
柳澤田実 2011年「〈暮らし〉の中で逃走線を紡ぐ インゴルド『生きていること』」『現代思想』vol.39-9、134-137頁。
柳澤田実 2017年「どのように線を描けばよいのか ティム・インゴルドの場合」『現代思想』vol.45-4、280-293頁。
生田博子 2018年「ティム・インゴールド」『はじめて学ぶ文化人類学』岸上伸啓編、ミネルヴァ書房、276-281頁。
事前・事後学習(予習・復習)の内容・時間の目安
【予習】上記の参考文献やインターネットなどで情報収集するほか、毎回授業で扱うテキストの該当範囲を読んでくること。内容をすべて理解する必要はないが、どんなテーマが扱われているか、重要そうな言葉はどれか、などについて最低限確認しておくこと。(30h)
【復習】授業内容をより深く定着させるために、配布されたレジュメを最低2回は熟読すること。余力があれば、授業内容と関連する身近な例を自分で見つけてみること。(30h)
アクティブ・ラーニングの内容
毎回講義後にコメントシートを提出してもらい、次回の講義の冒頭で簡単な講評を行う。コメントシートは、教員との、また学生間での貴重なコミュニケーションの機会であり、講義を聞いた感想や質問を自由に書くこと。
成績評価の基準・方法
上記した到達目標1)2)に照らして、コメントシートの内容(30%)と定期試験レポート(70%)を総合して評価する。
課題・試験結果の開示方法
コメントシートは、次回の講義で一部紹介し、簡単な講評を行う。
定期試験レポートについては、授業評価アンケートの教員コメント欄に、試験結果に関するコメントもあわせて記載する。
履修上の注意・履修要件
(予習・復習については上記を参照のこと。)
この授業の目的は、社会人類学の一般的な解説というよりも、より自由な形で人類学的な「ものの見方」を身に付けてもらうことにある。テキストの正確な読解は重要だが、それよりも自分自身で何かをつくってみたい好奇心にみちた学生を求める。
芸術や建築についての話題が多く出てくるが、予備知識は特に必要ない。
実践的教育
該当しない
備考
英語版と日本語版との間に内容の相違が生じた場合は、日本語版を優先するものとします。